【人口再生産性の低い東京への若者集中が日本消滅を招く】
東京には、出生率が1.0未満と極端に低い、つまり人口の再生産性が低いという大変な欠陥があるのです。
これは、極端な人口過密が子育てしにくい環境を形作っており、ワークライフバランス(仕事と生活のバランス)が崩れているからです。
女性が高学歴で就労しているからだという説の方が多いので困るのですが、実際には首都圏は国内でもっとも若い女性の専業主婦率が高いところです。
専業主婦が少なく、共働きが多い都道府県ほど出生率が高いというのは明白な傾向なのですが、東京は通勤時間が長いためになかなか女性が働きにくく、その結果出生率も低いという状況にあります。
そういう場所に若者を集めてきたことは、明らかに日本の人口減少を早めました。流入する若者2人につき1人しか子供が生まれないのですから、当たり前のことです。
実は、人口爆発の抑制が国家的課題だった昭和40年ごろまでの時代には、東京への若者集中は極めて有効な策でした。逆にいえば、ここ数十年は明らかに時代遅れの施策といえます。
2000年と2005年の首都圏一都三県在住者数を住民票ベースで比較すると、総人口は95万人増えているのに、20歳から59歳までの人口は27万人の減少です。
日本人のほとんどが気付いていませんが、働き旺盛に消費し納税する層は、もう首都圏でも減少に転じたのです。
全国の団塊ジュニア(30代前半)の3分の1は首都圏に集まっているのですが、彼らの出生率は非常に低いため、赤ん坊はその半分しか生まれていません。
その差が、地方からの上京者では埋められないところまで拡大しているのです。おまけに今後5年間に団塊の世代が60歳を超えるので、現役人口の減少は首都圏でも加速していきます。
このような事態を招いた、若者の首都圏一極集中は、真に反省されるべきことです。
若者、特に東京でワーキングプアーをやって家賃を払うためだけに働いているような層を出生率の高い地方に戻すようにしないと、本当に国が消滅するのではないでしょうか。
人口の最低限の再生産性の再建は今世紀の日本経済の最大の課題です。そういう問題意識をまったく欠いた東京集中促進論者には、猛省を求めねばなりません。
http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/lec113.html